2011年02月22日

Inno di Mameli

北アフリカおよび中東はすごいことになっていますね。チュニジアから始まったいわゆる革命ってのが、こんなに次々と飛び火するとは誰も思っていなかっただろうなぁ。シナイ半島をはさんで中東にも広がりそうだし。。。ここでイタリアが問題なのは1.すでにチュニジアから来ている大量の不法移民が更にとめどなく倍増の予感。2.万が一の時イタリアから逃げ出す先をきっとブンガブンガの親友カダフィ大佐のいるリビアと思っていたであろうベルルが、逃げ場がなくなってしまう。(爆)

リビアとは石油の共同採掘とかもしてるよね、イタリア。これでガソリンもまたうなぎのぼり。。。

というイタリアですが。実は今年でイタリア統一150年。1800年代からガリバルディなどが率いる青年団によりイタリア統一の動きが高まり、1861年3月17日に、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が国王となり、イタリア王国が誕生します。なので来月3月17日が統一記念日なのですが、この日を休みにするのかどうなのかでもめている最中なのですが、先日サンレモ音楽祭でロベルト・ベニーニによるイタリア国家(Inno di Mameli1)と国旗についてのかなり長い解説がありました。サンレモってほんとに今となってはしょうもないんだが(ま、うちにはテレビもないんだけど。爆)今回はどうしてもこのベニーニを見たかったんですよね。YOUTUBEのおかげでこのベニーニの演説を拝聴したのだけど、これがものすごくよかったのよ。同じく1800年の終わりに統一国家になった日本の明治維新だって、実は世界にもまれな無血革命(戦乱が起きたのは明治政府になってから)だったわけで。そのことをこういう風にきちんと話してくれる人、日本にはいないのかしら?実はイタリアも国旗や国家を軽んじる傾向が強くなってきた日本と同じく、現在の国旗・国家に対していろいろと文句を言う政治家(ま、レーガだけども)が出てきているわけ。現在の政権の一端を担っているレーガはとにかくFederalismo(州政治制)を実現したく、ベルルが何をしようが、とりあえずこれを通すまでは政権を支えるってわけなのよね。ベルルはとりあえず政権をとっていることが彼の目的だから、それ以外はどうでもいいんだろうし。州政治制にしたいのは、簡単に言うといわゆる潤っている北部が失業率が高く貧困の傾向にある南部に対して税金を使って助けるのはもうごめん!ということなんだろうけど、実は税金を投入しても南部ではそれはほとんどマフィア(カモッラ・ヌドランゲタなどを含む)に流れて行き、そして潤うのは彼らと彼らと結託する政治家(北部の政治家ももちろん含む)という仕組みになっているんだよね。なんだかこの仕組みを考えると思い出すのが映画「ガット・パルド(山猫)」。それこそイタリア統一時のシチリアが舞台のこの映画の中で、イタリアを統一したい革命に燃える若者たちとそれまで支配をしていた貴族社会の没落が描かれているんだけど、「いまのままなにも変わらないことをのぞむなら、すべてを変えるしかないよ。」と、主人公タンクレーディ(美しいアラン・ドロン。。。)が叔父さんである伯爵に言うわけだけど、本当のところはその貴族たちもしたたかで「すべてが変わっても何も変わらない」ような取引があったのでしょう。スペイン王家をはじめとする外国人の支配からイタリアとして独立するためにその戦いを支える代わりに、実際の支配権は手放さないという密約ができていた、と、昔語学学校でマフィアの歴史をやったときに先生が言ってたわ。南部が貧しかったのは、工業が育たないとかそういう次元ではなく、永久に二重搾取が保障されてしまった場所だから。そしてその構造は貴族層がマフィア層に取って代わっただけ。そのマフィアはその安全のために政治家とつるむんだから、国から予算を取れば、マフィアだけではなく政治家個人が潤い、どんどん南に北から税金が投入され、でも何も育たないということになってたわけね。ただし、民衆もしたたかで、権力が変わっても生きていくだけの日和見主義というか、どうすれば自分たちが生き残れるかという本能を身に着けているから(これはナポリ人の友達が話していた)自分たちで何かを変えようとはしないわけよね。だから何も変わらない。

とまあ、長くなりましたが、この国歌。MAMELIという20歳の青年が書いた詩なのです。当時21歳が成人とみなされていたらしく、彼はまだ未成年。そんな青年の詩が革命に燃える若者たちに感動を与え、革命を支える歌となり、革命成立後に国家となったの。ただしイタリア人の中にはマーチっぽいのが軍を連想させて嫌だとか言う人たちもけっこういて、そういうひとたちは「Va'pensiero(想いよ、行け)」というヴェルディのナブッコというオペラに出てくるアリアのほうを好みますがね。このことについてもちょっとベニーニ触れてます。「Va pensiero、そうそう、ベルディってほんとうに国のことを心配していたんだ。Fuga di cerbelloだからね。(今イタリアで言われている、頭脳の流出。イタリアの教育文化、研究に対する国の大幅予算カットで、研究者とかイタリア脱出を余儀なくされ、イタリアの頭脳がそのうちイタリアからなくなってしまうという話があるから)」



ベニーニは国歌にこめられたであろう、国を統一するための若者たちの熱い思い、そして自分の命を賭しても未来を願う覚悟をほんとうに分かりやすく解説してくれました。先日Inno di Mameliには歌詞に欠陥があり国歌として認めないと大騒ぎしたレーガのボッシの「おれたち(イタリア)はローマの奴隷ではない!ローマなんかくそ食らえ!(彼はボローニャから下はイタリアではないと思っている)」という主張も、「ウンベルト(ボッシ)!ローマの奴隷(という歌詞)の主語は”勝利”→だからかならずローマは勝つという意味で、イタリアじゃぁないんだ!(イタリア語も分からないのか?爆→ボッシの子供はイタリアの子供が高校を卒業するときに受けるMaturitaという試験を3回も落ちている。汗)」と笑いに変えてしまったわけさ。(爆)イタリアをイタリア人の国へと移民排除の傾向にあるレーガですが、実はイタリアという国の本質自体分かってないんじゃないか?と思われるんだよね。というよりも、イタリア人自体がだんだんこういうことを知らなくなってきている。政治に対して興味関心がかなり高いといわれていたイタリアだけど、だんだんマスメディアの統制・見えない検閲、そしてしょうもない番組の垂れ流しに麻痺しているのか、変わらないというか、自分の利益だけを追求する政治などに幻滅しているのかはたまた、何かあれば政府に対してストやデモをするけれど、本来の変革という目的よりも、ただ惰性というか、大声で叫んでデモに参加してストレスを発散するだけで、本質は何にも分かっていないような若者が増えてきているんじゃないかなぁ。いや、若者だけではなく、老若男女問わず。。。ベルルは何かあると「コムニスタ(共産主義)!」と野党や彼にたてつく検察とかを罵倒するけど、これも意味のない子供の悪口みたいなもんだもんね。実際コムニズモがいいかというと、働く人の権利を守るべく(共産主義だから)奔走する→意味のないスト、っていう構図が出来上がっていて、週末にかけてのストなんか打ったところで(実際ストがあるのって、金曜日とか月曜日。。。汗)あぁ、またかって誰も何も思わなくなっているのが現状。なんというか、結局上の層は本当に下の苦しみはわからない、下も戦うポーズはとってもどこかで変わらないと確信したところがあって、ある程度のところまでしかやらない→お互い革命なんか無理と思っている、ってところなんだろーなぁ。




イタリア統一に命をかけていた若者たちはInno di Mameliの最後にもあるように「Siamo pronti alla morte(我々は死にゆく覚悟がある)」だったんだよね。明治維新のときの坂元龍馬をはじめとする日本の若ものも同じだったと思う。希望や理想のために、そして何よりも国を創る、国を思う気持ちで。最後にベニーニが国歌を歌いましたが、まさにそれはそういう若者、一兵士として、まだ見ぬ未来を自分たちの手で勝ち取ろう、そしてもしかしたらそれを見ぬまま死んでしまうかもしれないという覚悟、寂しさの入り混じる気持ちを表現した、ものすごい感動的なものだったんです。あたしは泣いちゃったもんね、まじで。

3月17日を休みにするかどうかもめてるイタリア。そんな一日休んだからって、産業界の主張する「生産性が落ちる」とか教育大臣が「学校のカリキュラムが遅れる」なんていうのはほんとうに笑っちゃう。そう思うのなら、イタリア産業の外国への流出を止めるべき(フィアットもイタリアの工場を閉めてルーマニアに工場移転する予定)だし、教育・文化にかける予算を大カットするのをやめるべきだ。今レーガが抜けてしまって政府が崩壊したらベルルの危機だからって、なんでもかんでもレーガのいうことを聞くのはどうだかな、ってことだよ。

ちなみに国旗がトリコローレ(赤白緑の3色)なのは、ダンテの新曲の中でダンテが見た最愛の人ベアトリーチェの描写から来ているんだそうです。ベアトリーチェの純白なベールにオリーブ色(緑)のベルト、そして緋色(赤)服を描写したこの部分なんだそうで。


così dentro una nuvola di fiori
che da le mani angeliche saliva
e ricadeva in giù dentro e di fori,
sovra candido vel cinta d'uliva
donna m'apparve, sotto verde manto
vestita di color di fiamma viva.


現代イタリア語訳だと
così dentro una nuvola di fiori che dalle mani degli angeli saliva e ricadeva dentro e di fuori dal carro, mi apparve una donna (Beatrice) sopra un candido velo cinta d'olivo, con indosso un verde manto e vestita di rosso vivo.
Come erano venute sulla Terra le tre ninfe, anche questa donna veniva dall'extra Terra.

イタリア革命の立役者の一人マッツィーニが選んだこの旗。1830年からイタリア統一の旗印として使われていたんだけど、これがダンテの新曲、しかもベアトリーチェの美しさを描いた部分からきているっていうのは、なんというかイタリアらしい気がします。

この放送の翌日、ラジオを聴いていたら誰かが「ほんとうに感動的な放送だった。これを3月17日に学校で子供たちに観させるべきだ!」といっていた。あたしもそう思う。




posted by yossy at 19:38| ローマ | Comment(4) | イタリアで生きていくって | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昔、イタリア国旗の色はバジリコにモッツェアレッラにトマトだと思っていたMIKAです。

イタリア統一150年目の今、レーガがこうも南と分断したいとほざくのを聞くのは悲しいよね。
あの時代、統一の前から何十年も若い革命家たちが望んだイタリア統一なのに。

戦後、貴族たちが自分の土地を守るためにまだ当時はそんなに力がなかったマフィアたちを雇ったことが、結果的にマフィアの力を強くしたわけで。

イタリアの歴史ってこういうところ多いんだよね。
Posted by MIKA at 2011年02月22日 20:12
yossyさん、こんにちはっ。Benigni談“non si deve amare troppo..,l'amore=la morte..come se non esistesse《e' morto troppo..》云々”のくだりでは、笑わせていただきました〜^^おっしゃるとおり!「この若い革命家たちはあなた方のお子さんよりも、もっと若かったハズ」という指摘もうなずけます。。 世の中に不服ばかり言ってて、でも責任感からは逃れたいから なんか逃げ腰、ふがいないっ >o<・・そういう若者が少し多い気がしますねぇ。。 それにしても、yossyさんのイタリアへの愛をとっても感じます。感動^^ A presto!!
Posted by kishino at 2011年02月22日 22:57
サンレモの記事、誰も書かないなあ・・・と思っていたんです、じつは。
さすがyossyさん!

まあ、退屈なところもおおいけれど、毎晩だいたい見てましたよ。外国人(つまり、例えば我々日本人とか)からみると、けっこうそれなりに面白みのあるフェスタだと思っています。前にベニー二がでたのはおととしでしたっけね?

フェスタの中ではちょっと長すぎるぞ!くらいの長さでしたが、内容は良かったですよね。だいたい、このフェスタの形式からして
イタリア人的持久走だと私は思っているので、まあ彼の演説の長さもその一環のようでもありましたが(笑)

Posted by mari at 2011年02月23日 07:34
>MIKAさま
っていうか、その色の選択がそれから来ているってイタリア人も思っていると思うけどね。(爆)マフィアの歴史を紐解くとそこに行くんだよね。でも日本は荘園領主が昔々領地を守るために雇った集団が侍となったわけなのだよね。。。表に立たずに裏の世界で表の世界まで征服しようとするマフィアと表の世界に立つことを望んだ侍の集団。そのへんのところをまとめたら卒論くらいにはなりそうねー。(笑)

>kishinoさま
お久しぶり♪イタリアの若者の政治離れもかなりありますが、日本はたぶん、あたしらの世代だったとしても政治無視みたいなところが多かったりする気がします。でもって、知らないことが多すぎて。平和で安全だと信じてたから今まではそれでよかったど、これからはそうじゃないですよね。政治に関心があるってのは、その国で生きていくうえで肝心要ということを今更感じています。
あたしのイタリアへの愛はかなり屈折してるけどね。(爆)


>mariちゃん
そうだよねー。紅白とサンレモは永久に無くならないでしょう。さんざん文句を言ったりしていても、やっぱり見てるからね。(笑)でも司会はやっぱりMorandiではなくって、Pippoがいいと思うのは、ベストテンは黒柳徹子以外はダメなのと同じなんだけどな。。。(って、ベストテン知ってるかしら?汗)





Posted by yossy at 2011年04月21日 09:03
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。